訪問入浴とは?お風呂が家にやってくるサービス

介護

「親を家のお風呂に入れるのが、だんだん難しくなってきた…」
「体を拭くだけの毎日で、本当にいいのかな」

そんなふうに悩んでいる方はいませんか?

わが家も同じでした。実家の母は自宅での入浴が難しくなり、いまは訪問入浴を利用しています。私は訪問看護師ですが、じつは以前、訪問入浴のスタッフとして働いていたことがあります。だから母のときも、迷わずこのサービスが頭に浮かびました。

この記事では、「利用する家族」と「働いていたスタッフ」の両方の目線から、訪問入浴をわかりやすくご紹介しますね。

この記事でわかること

  • 訪問入浴ってどんなサービス?狭い家でも大丈夫?
  • 寝たきりでも、医療機器をつけていても利用できるの?
  • 気になる料金の目安
  • 母が利用して感じた、よかったこと

訪問入浴とは?専用の浴槽ごと、3人のチームで来てくれる

訪問入浴(正式には「訪問入浴介護」)は、専用の浴槽を積んだ車で自宅まで来てもらい、お部屋の中で入浴できる介護保険のサービスです。

スタッフさんは基本的に3人。看護師さん1名と、介護スタッフさん2名のチームでやってきます。私が働いていたころは、日によって4人で伺うこともありました。

「うちは狭いけど、浴槽なんて置けるの?」と心配になりますよね。必要なスペースは2〜3畳ほど。ベッドのすぐ横に、その日だけのお風呂ができるイメージです。準備から片付けまでは、50分前後が目安ですよ。

母が訪問入浴を選んだ理由

母は、自宅のお風呂に入るのが難しくなりました。デイサービス(日帰りで通う介護施設)で入浴する方法もありましたが、母は通うことを希望しませんでした。そこで、わが家では訪問入浴を利用することにしたんです。

働いていた経験があったぶん、「母の状態なら、このサービスが合っている」と迷いはありませんでした。ひとつだけ考えたのは、どの部屋でやってもらうか。浴槽を運び込む分の場所が必要なので、家具の配置を思い浮かべながら決めました。ここは、利用前にちょっとだけ頭を使うところかもしれません。

体を拭く「清拭(せいしき)」でも、清潔はある程度保てます。でも、髪を洗ってもらったり、お湯に浸かったりする気持ちよさは、やっぱり特別。お風呂上がりのスッキリした心地よさは、清拭ではなかなか味わえないものです。母にとっても、訪問入浴にしてよかったなと感じています。

看護師さんがいるから、体調が不安な方でも安心

「うちの親は寝たきりだけど、入浴なんてさせて大丈夫?」と不安な方も多いと思います。

訪問入浴には必ず看護師さんが付き添い、入浴前に血圧や体温などの体調チェックをします。その日の体調が優れなければ、無理はしません。清拭や部分浴(洗髪や足湯など)に切り替えるなど、その日の状態に合わせて対応してもらえるんです。

寝たきりの方はもちろん、人工呼吸器をつけている方も利用できます(主治医の入浴許可が必要です)。「うちは無理だろう」とあきらめる前に、一度相談してみる価値がありますよ。

しかも、脱衣から洗身、着替えまで、スタッフさんがすべて行ってくれます。ご本人は体の力を抜いて、お湯に身をゆだねるだけ。体への負担が少なく、安全に入浴できるのが大きな魅力です。体が温まることで血行がよくなったり、リラックスできたりする効果も期待できますよ。

事前に相談しておけば、軟膏(なんこう)を塗るなどの簡単なケアをお願いできることも。入浴後のシーツ交換まで対応してくれる事業所もあります。契約のときに「どこまでお願いできますか?」と聞いてみてくださいね。

料金の目安と、利用までの流れ

「手厚いぶん、高いんじゃないの?」と気になりますよね。

訪問入浴は介護保険が使えるので、自己負担1割の方なら1回あたり約1,266円です(要介護の方の場合。地域によって少し変わります。所得によっては2割・3割負担になります)。要支援の方は「介護予防訪問入浴介護」という区分になり、1割負担で1回約856円です。

訪問介護(ホームヘルプサービス)と比べると、1回あたりの料金は高めです。ただ、3人のスタッフさんと専用の浴槽で行う手厚いサービスだと考えると、私は納得の金額だと感じています。なお、体調により清拭や部分浴に切り替えた日は、料金が1割引きになります。

利用までの流れはシンプルです。

  1. ケアマネジャーさん(介護の計画を立ててくれる専門家)に「お風呂のことで困っている」と相談する
  2. 主治医から入浴の許可をもらう
  3. 事業所と契約して、利用スタート

「まだ要介護認定を受けていない」という方は、申請からのスタートになります。申請の流れはこちらの記事にまとめているので、あわせて読んでみてくださいね。

訪問入浴はこんな方におすすめ

  • 寝たきりなど、介助なしでは入浴が難しい方
  • デイサービスに通うことを望まない方
  • 人工呼吸器などの医療機器をつけていて、入浴をあきらめていた方
  • ご家族だけでのお風呂介助が、大変になってきたご家庭

家族によるお風呂の介助は、体力も気力も使う大仕事です。浴室は滑りやすく、支える側も転倒のリスクがあります。「そろそろ限界かも」と感じたら、それは頼りどきのサインかもしれません。

まとめ

  • 訪問入浴は、専用の浴槽ごと自宅に来てくれる介護保険のサービス
  • 看護師さん1名+介護スタッフさん2名の3人チームで、2〜3畳あれば利用できる
  • 体調チェックつきで、寝たきりの方や医療機器をつけている方も利用できる
  • 自己負担1割なら1回約1,266円(要支援は約856円)
  • 利用したいときは、まずケアマネジャーさんに相談を

湯船に浸かって「はぁ〜」と息をつく気持ちよさは、何歳になっても、どんな体の状態になっても、あきらめなくていいものだと思います。

お風呂のことで悩んでいたら、まずはケアマネジャーさんに「訪問入浴って、うちでも使えますか?」と聞いてみてくださいね。

→ あわせて読みたい:頑張りすぎていませんか?介護中こそ「頼る」という選択肢を

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