「今日の分が、あとちょっと足りない」「生協に頼んだものが届くのは、来週なのよね」
そんなふうに感じたことはありませんか?
私は訪問看護師として、日々さまざまなお宅に伺っています。玄関先の保冷箱も、スーパーのロゴが入った袋も、どちらもよく見かける光景です。実家では、生協とネットスーパーの両方を試してきました。
今回は、似ているようで役割が違うこの2つを、どう使い分けるかについてお伝えします。
この記事でわかること
- ネットスーパーと食材宅配の、いちばん大きな違い
- 4つの点で比べたときの、それぞれの得意なこと
- 我が家がネットスーパーを試して、生協に戻った理由
- 高齢の親にすすめるなら、どちらが始めやすいか
いちばんの違いは、「届くまでの早さ」です
まず、ここだけ押さえておけば大丈夫です。
- ネットスーパー:近くのお店の商品を、早ければその日のうちに届けてくれる
- 食材宅配(生協など):注文したものが届くのは、翌週の決まった曜日
同じ「食材が届く」でも、時間の流れがまったく違いますね。
実家が生協を始めたころ、母が困っていたのがここでした。注文するときに、1週間先の冷蔵庫の中身を想像しないといけないのです。「先週たくさん頼んだから今週は少なめに」と考えても、届くころには予定が変わっています。
多めに頼めば余り、控えめにすれば足りない。この在庫のやりくりが難しくて、実家では一度ネットスーパーに切り替えてみました。「欲しいときに、欲しい分だけ頼める」ほうが合うのではないかと考えたからです。
食材宅配そのものについては、食材宅配とは?頼めるもの・料金・高齢の親に使うときの注意点の記事にまとめています。
4つの点で比べてみます
「じゃあ、どっちが便利なの?」と思われるかもしれません。得意なことが違うので、4つに分けて見ていきますね。まずは、ざっとご覧ください。
| ネットスーパー | 食材宅配(生協など) | |
|---|---|---|
| 早さ | 最短でその日 | 翌週の決まった曜日 |
| 受取り | 在宅が基本 | 留守でも置いていってもらえる |
| 注文 | ネット・アプリ | 紙・電話・FAXもOK |
| お金 | 送料が1回100〜500円ほど | 毎回の手数料+出資金 |
ひとつずつ見ていきますね。
1. 届くまでの早さ
ネットスーパーは、注文したその日か翌日には届きます。「今日の夕飯が足りない」に間に合うのが強みです。
生協などの食材宅配は、週に1回のペース。急ぎには向きませんが、毎週決まった曜日に届く安心感があります。
2. 受け取り方
ここは見落としやすいところです。生協は、留守にしていても専用の保冷箱に入れて玄関先に置いていってもらえます。ネットスーパーは、配達の時間帯に家にいて受け取るのが基本です。置き配に対応しているお店もありますが、住まいの条件などで使えないこともあります。
日中お仕事で家にいない方には、この違いが意外と大きく効いてきますよ。
3. 注文の方法
ネットスーパーは、その名のとおりインターネットやアプリからの注文になります。
生協は、紙の注文用紙や電話、FAXでも頼めます。パソコンやスマホが苦手な方でも始められるのは、生協の心強いところですね。
4. かかるお金
どちらも、商品代のほかにお金がかかります。
- ネットスーパー:入会金や年会費はなし。送料が1回あたり100〜500円ほど(一定の金額以上を買うと無料になるお店もあります)
- 生協:毎回の手数料がかかります。加入のときに、出資金として1,000円ほどを預けます
出資金と聞くと身構えてしまいますが、これは生協をやめるときに返してもらえるお金です。手数料も送料も、地域やお店によって変わります。始める前に自分の地域の金額を確かめておくと、あとから驚かずにすみますよ。
我が家がネットスーパーを試して、生協に戻った理由
ここからは、正直にお伝えしたい話です。
実家でネットスーパーを使っていたころ、注文をしていたのは私でした。母が近所のスーパーのチラシを見て「これとこれ」と選び、私がそのとおりに注文する。しばらく、そんな形で買い物をしていました。
最初はうまくいっていました。パンや牛乳などの日配品は、お店で買うのと変わらない満足度だったそうです。
ときどき、母が選んだ特売品がネットスーパーには出てこないこともありました。これは、めずらしいことではありません。多くのネットスーパーが「入荷の状況によっては、チラシの商品を掲載しない場合があります」と案内しています。店頭と価格が違う場合があることも、あわせて書かれています。
楽しみにしていた品が買えないと、少しがっかりしますよね。
そして、生鮮食品でつまずきました。野菜やお肉が、自分で店舗に行って選んでいたころと比べて「これはちょっと……」という日があったのです。
1度や2度なら、「そういう日もあるよね」ですんだかもしれません。でも、それが何度か続きました。結局、ネットスーパーはやめて、実家はまた生協に落ち着いています。
ネットスーパーの多くは、お店のスタッフさんが売り場から商品を選んで届けてくれる仕組みです。自分の目で見て選ぶことはできません。「選ばなくていいラクさ」と「選べないもどかしさ」は、同じことの表と裏なのですね。
もちろん、これは私の家族が使った、あるお店・ある時期の話です。良い品を届けてくれるお店もたくさんあります。ただ、こういうこともあると知っておけば、がっかりせずにすむかもしれません。
高齢の親にすすめるなら、どちらが始めやすい?
訪問先でも、生協を使っている方、近所のスーパーの宅配を使っている方、どちらもいらっしゃいます。
そのうえで、最初の一歩としては生協などの食材宅配のほうが始めやすいと感じています。理由は2つです。
- 紙や電話でも注文できるので、ネットが使えなくても始められる
- 留守や、玄関に出るのに時間がかかるときでも、置いていってもらえる
一方で、ネットスーパーには別の使い道があります。家族が代わりに注文して、実家に届けてもらえることです。「醤油が切れた」と電話をもらったとき、その日のうちに届けられるのは心強いですよね。私も実家の分をそうやって注文していました。
どちらを選んでも、ひとつだけ確かめてほしいことがあります。届いた荷物を、玄関から冷蔵庫まで運べるかどうかです。ここが難しければ、介護保険のヘルパーさんに買い物や片づけを頼むという方法もあります。詳しくは訪問介護(ホームヘルプ)とは?の記事をどうぞ。
忘れたくない、「自分で選ぶ」という楽しみ
ここで、ひとつ書いておきたいことがあります。
母は以前、自分で買い物に行っていました。今は足が不自由になり、お店まで行くのが難しくなっています。
買い物って、荷物を運ぶだけの用事ではないのですよね。並んでいる野菜を見て季節を感じたり、特売の札を見つけて「今日はこれにしよう」と決めたり。選ぶこと自体が、日々の小さな楽しみだったのだと思います。
お店に行けなくなっても、その楽しみまで手放さなくて大丈夫です。チラシやネットの画面を見ながら選ぶ時間は残ります。「来週はこれを食べようかな」と考えるひとときは、気持ちのハリにもなりますよね。

そう考えると、母がチラシで選んで私が注文していたあの形は、悪くなかったのかもしれません。選ぶ人と、操作する人が違ってもいいのですから。
家族が良かれと思って全部代わりに決めてしまうのは、少しもったいない気がします。注文の操作は手伝っても、何を食べたいかを決めるのは本人。そんな分け方ができるといいなと感じています。
「どちらか一つ」に決めなくて大丈夫です
そして、もうひとつ。この2つは、どちらかを選ぶものではありません。
スーパーによって特売の品が違いますし、生協の牛乳や食パンがおいしいと感じることもあります。実家は今、生協を軸にしながら、足りない分を私が週に1〜2回買いに行ってカバーしています。
決め方は、こんなふうに考えるとシンプルです。
- お米や飲みものなど、重くていつも買うものは宅配にまわす
- 「今日足りない」はネットスーパーか、近くのお店で
- 好きな味のもの、こだわりたいものは、気に入ったところで買う
母のように、試してみて元に戻ることもあります。それも立派な答えのひとつだと思うのです。
まとめ
- ネットスーパーは最短その日、食材宅配は翌週の決まった曜日に届く
- 受け取り方・注文方法・かかるお金にも違いがある
- ネットスーパーは商品を自分で選べない。そこが便利さでもあり、もどかしさでもある
- 高齢の親には食材宅配が始めやすく、家族が代わりに注文するならネットスーパーが役に立つ
- どちらを使っても、「何を食べたいか」を選ぶ楽しみは本人に残しておきたい
買い物は、毎日のことだからこそ小さな負担が積み重なります。重いものを持たずにすむ日が週に一度あるだけで、体も気持ちもふっと軽くなりますよ。
まずは、お住まいの地域でどちらが使えるかを調べてみてください。「合わなければやめてもいい」くらいの気持ちで始めるのが、いちばん続くコツだと感じています。
→ あわせて読みたい:食材宅配とは?頼めるもの・料金・高齢の親に使うときの注意点
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