「家の中で転んでしまってから、急に手すりやベッドの話になった」
「そもそも、介護用品って買うものなの?借りられるの?」
福祉用具の存在は知っていても、実際どんなものかは利用していないとピンとこないですよね?
訪問看護の現場でも、介護保険サービスのなかで福祉用具を利用している方は多いです。私自身も母が病気で長期入院して自宅に帰る際、福祉用具を利用することになった家族の一人です。
この記事では、現場で見てきたことと合わせて、福祉用具の借り方をお伝えしますね。
この記事でわかること
- 借りられるもの、買うものの違い
- 気になる費用の目安
- 介護保険を使えない場合(障害のある方など)
- 申し込みの流れと、相談先
福祉用具って、どんなもの?
身体が思うように動かなくなったとき、暮らしを助けてくれる道具のことです。現場ではこの4つがよく使われています。
- 介護用ベッド
- 手すり
- 歩行器
- 車いす

たとえば、ずっとお布団で寝ていた方が介護用ベッドに替えると、起き上がるときの足腰がぐっとラクになることがよくあります。トイレや廊下に手すりをつけて、転びにくくなった方もたくさんいらっしゃいます。
「そんなに助けになるなら、買えばいいの?借りるの?」と迷いますよね。そこを表で整理しますね。
借りるもの、買うもの。表で整理します
私も現場にいながら、どれが借りられてどれが買取なのか、あいまいなところがありました。今回あらためて調べたので、いっしょに確認しましょう。
介護保険で借りられるもの(13種類)
| 種類 | 月額レンタル料の目安 | 1割負担の場合 |
|---|---|---|
| 手すり(工事をしない置き型など) | 約2,000円 | 約200円 |
| スロープ(段差をなくすもの) | 約2,000円 | 約200円 |
| 歩行器 | 約3,000円 | 約300円 |
| 歩行補助つえ | 約1,500円 | 約150円 |
| 自動排泄処理装置 | 約10,000円 | 約1,000円 |
| 車いす | 約4,000円 | 約400円 |
| 車いすの付属品 | 約1,000円 | 約100円 |
| 介護用ベッド | 約8,000円 | 約800円 |
| 介護用ベッドの付属品 | 約500円 | 約50円 |
| 床ずれ防止用具 | 約4,000円 | 約400円 |
| 体位変換器 | 約2,000円 | 約200円 |
| 認知症の方の徘徊感知機器 | 約6,000円 | 約600円 |
| 移動用リフト | 約10,000円 | 約1,000円 |
料金はレンタル会社や商品によって変わります。所得によっては、自己負担が2割・3割になる方もいらっしゃいます。
介護保険で買うもの(6種類)
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 腰掛便座 | ポータブルトイレなど |
| 入浴補助用具 | 浴室内の椅子、浴槽の手すりなど |
| 簡易浴槽 | 持ち運べる浴槽 |
| 自動排泄処理装置の交換部品 | 本体は借りて、部品を買う |
| 排泄予測支援機器 | 排尿のタイミングを知らせる機器 |
| 移動用リフトのつり具 | 身体をつるす部分 |
トイレや浴室で使うものが買取になるのは、肌に直接ふれたり、汚れたりして、ほかの人に貸し出しにくいからなんですね。1年間(4月〜翌年3月)で10万円までが介護保険の対象で、いったん全額を支払って、あとから申請して戻ってくる流れが基本です。
買うものでも、まずデモ機(見本の用具)で試すことはできます。使ってみて合わなかった、ということを避けられるので、遠慮なく頼んでみてくださいね。
なお、歩行器の一部・歩行補助つえ・スロープは、2024年4月から借りるか買うかを選べるようになりました。どちらがいいかは、担当の方が説明してくれますよ。
壁につける手すりは、別の制度です
表の手すりは、置くだけで工事のいらないタイプです。壁や床に取りつける工事が必要なものは、住宅改修(家の工事に介護保険が使える制度)になります。20万円までが対象で、工事の前に申請が必要です。先に工事を始めてしまわないよう、気をつけてくださいね。
福祉用具レンタルは、誰でも使えるの?
介護保険で使えるのは、要介護認定を受けた方
介護保険が使えるのは、基本的に次の方です。
- 65歳以上で、要介護認定(介護がどのくらい必要かの判定)を受けた方
- 40〜64歳で、国が定める16の特定の病気が原因で、要介護認定を受けた方
認定が軽い方(要支援1・2、要介護1)は、ベッドや車いすなどが原則借りられません。ただ、医師の意見をもとに市区町村が必要だと認めれば、借りられることもあります。「軽いから無理」とあきらめる前に、聞いてみてください。
障害のある方は?
「障害のある方は使えないの?」という疑問も出てきますよね。
65歳以上の方(40〜64歳で特定の病気の方も)は、介護保険が優先されます。車いすや歩行器のように、介護保険の用具と同じものは、介護保険で借りるのが基本です。
それ以外の方は、障害のある方向けの制度(補装具や日常生活用具の給付)が使えることがあります。内容は市区町村によってちがうので、お住まいの市区町村の障害福祉の窓口で聞いてみてください。
申し込みの流れ|まずはケアマネジャーさんに相談
現場で見ているのは、だいたいこの流れです。
- ケアマネジャーさん(介護の計画を立ててくれる専門家)に相談する
- 福祉用具の会社の担当の方が、カタログや希望に合った用具を持ってきてくれる
- 使ってみて、納得できたら契約する
- レンタルが始まる
訪問看護やリハビリが入っている場合は、訪問看護からケアマネジャーさんに相談して、あとは同じ流れになることもあります。
実は、福祉用具の担当の方にも、その方が実際に使う場面までは判断しにくいことがあります。そのため、リハビリの担当者がデモ機を使う場面に立ち会って、その方に合っているかを一緒に見ることもあります。「ほんとに合ってるのかな?」と不安なときは、そんなふうにお願いしてみるのもひとつです。
離れて暮らす親の様子が気になる方は、見守りの方法をこちらの記事にまとめています。
→ 親の見守り、何から始める?カメラと緊急ボタンだけでは足りません
福祉用具を考えるきっかけは、転倒や病気のあと
福祉用具を考え始めるのは、転んだときや病気をしたあと、今までのように過ごせなくなったときがほとんどです。それは自然なことだと思います。身体の状態はその時々で変わるので、困っていないうちから用具を考えるのは難しいですよね。
実際、そういったきっかけで福祉用具を使い始めたり、介護サービスや訪問看護が入ったりすることもあります。
ただ、お金もかかりますし、家に大きなものを置くことに抵抗がある方も多いです。そのため、一度転んだあとでも「もう少し大丈夫」と見送る方がいらっしゃいます。そして、そういう方がもう一度転んでしまうことも、やっぱりあります。
転んだときや退院のときは、暮らし方を見直すタイミングです。迷ったときこそ、相談してみてくださいね。
母の場合
私の母も、退院のときは歩行がかなり不安定でした。住まいが2階だったので、階段にリフトをつけて、廊下やトイレ、浴室には手すりをつけました。浴室の椅子は購入して、歩行器はレンタルです。ベッドは祖父が使っていたものがあったので、借りずに済みました。
今は、家の中用の歩行器と、外出用の車いす、床ずれを防ぐクッションを借りています。状態が変わるたびに必要なものも変わるので、借りられることが本当に助かっています。
まとめ
- 福祉用具には、借りるものと買うものがある。トイレ・浴室で使うものは買うものが多い
- 買うものでも、デモ機で試せる
- 1割負担なら、ベッドや車いすでも月に数百円〜1,000円ほどが目安
- 壁につける手すりは、住宅改修で工事の前に申請が必要
- 介護保険は要介護認定が前提。障害のある方は年齢や病気で制度が変わるので、窓口で確認を
- まずはケアマネジャーさんに相談を
転んだときや退院が決まったときは、暮らしを見直すきっかけです。「もう少し大丈夫かな」と迷ったら、ひとりで抱え込まずに、まずは話してみてくださいね。


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