親の見守り、何から始める?カメラと緊急ボタンだけでは足りません

玄関先で笑顔で話す高齢の女性と訪問者 介護

「そろそろ何か、見守りを入れたほうがいいのかな」
「でも、カメラまでは大げさな気もして…」

もうすぐ敬老の日ですね。こんなふうに考える方もいるのではないでしょうか。

私は訪問看護師として、見守りの道具を使っているお宅にたくさんお邪魔してきました。そこで感じているのは、道具を入れたからといって、それだけで安心にはならないということなんです。

この記事では、見守りにどんな方法があるのか、そして現場で実際に何が起きているのかを、正直にお伝えしますね。

この記事でわかること

  • 見守りの道具にはどんな種類があるのか
  • カメラで分かること、分からないこと
  • 緊急ボタンがあっても助けを呼べないことがある理由
  • お金をかけずに始められる、いちばん確実な方法

見守りの道具には、どんな種類がある?

大きく4つに分けられます。

種類どんなもの向いている場面
カメラ部屋の様子を映して、スマホで見られる日ごろの動きを知りたい
センサー人の動き、電気やポットの使用を知らせる映すことに抵抗がある
緊急ボタン押すと警備会社などにつながる急に具合が悪くなったとき
訪問・配達宅食や新聞の配達時に、様子を見てもらう人に見てもらいたい

「どれかひとつ」ではなく、組み合わせて使うのが基本です。それぞれ得意なことが違うからなんですね。

訪問看護の現場で、実際に使われているもの

実際にどんなものが使われていたか、ご紹介しますね。

カメラを使っていたのは、認知症のあるひとり暮らしの方や、認知症とまではいかなくても体の状態に心配があって、少し認知機能が落ちてきている方です。何人かいらっしゃいました。

これはいい方法だな、と思ったのが、ペットの見守りカメラを使っている方です。介護用として売られているものでなくても、十分に役目を果たしていました。数千円から買えるので、最初の一歩としては現実的だと思います。

緊急ボタンは、警備会社のものを使っている方と、24時間つながるヘルパーさんの緊急ボタンを使っている方がいらっしゃいました。

ペットカメラと、介護向けのカメラは何が違う?

「安いほうで大丈夫なの?」と気になりますよね。ちがいをまとめてみました。

ペットカメラなど一般のもの介護向けのもの
できること映す・動きを知らせる・話しかける左に加えて、転倒などをAIが見分ける
知らせが届く先家族のスマホ家族のスマホ。事業者につながるものも
費用数千円からの買い切りが中心月額がかかるものが多い

ただ、ここも正直にお伝えしますね。介護向けのAIでも「今まさに転んだ」という瞬間をとらえるのは苦手とされていて、緊急ボタンとの併用がすすめられています。つまり、高いものを選べば解決、というわけでもないんです。

まずはペットカメラのような手の届くもので始めて、足りないと感じたら考える。その順番でいいと思いますよ。

カメラで分かること、分からないこと

ここが、いちばんお伝えしたいところです。

ご家族から様子を伺うと、こんなことを教えてくださいます。

  • 「2階からあまり動いていないみたい」
  • 「今日は外出しているみたいです」

つまりカメラで分かるのは、**細かい出来事ではなく「だいたいの様子」**なんです。でも、これがとても役に立ちます。動きが少なければ「ご飯が食べられていないのかもしれない」と気づけますし、活動の量から普段との違いも見えてきます。訪問する私たちにとっても、大事な手がかりです。

いっぽうで、カメラは転んだ瞬間に助けを呼んではくれません。映っているだけで、誰かが見ていなければ気づけないんですね。「付けたから大丈夫」ではなく「様子を知るための道具」と考えるのがちょうどいいと思います。

カメラを付けるときに、考えておきたいこと

大前提として、カメラを付けるときはご本人の同意をとるのが基本です。

正直にお伝えすると、認知症のある方の中には、カメラがあること自体に気づいていない方もいらっしゃいます。でも「分からないなら黙って付けていい」ということではないんですよね。判断がむずかしい場合はご家族が決めることになりますが、そのときも「この人だったら、どう思うだろう」と考える時間はとってほしいなと思います。

置き場所にも配慮がいります。トイレやお風呂は避けて、リビングや廊下など、生活の動きが分かる場所にするのが一般的です。

「ボタンがあるから安心」とは限りません

緊急ボタンについても、正直に書いておきますね。

でも現場では、こんなことが起きているんです。

  • ボタンが届かない場所で転んでいた
  • 自分でなんとかしようとして、押さない

とくに2つめは多いんです。「こんなことで呼んだら悪い」「自分で起き上がれるはず」と思われる方は、本当にたくさんいらっしゃいます。ボタンを持っていても、押していただけなければ意味がないんですよね😢

宅食の見守りも同じです。配達の方が「体調が悪そうだ」と気づいて連絡をくださることは、確かにあります。でもお仕事が立て込んでいて、お弁当を玄関のドアノブにかけて帰られる方もいますし、様子の変化に気づかない方もいます。

だからこそ、こちらからお願いしておくと変わることがあります。

たとえば、決まった時間にお薬を飲んでほしい方の場合。お薬の管理そのものを配達の方にお願いすることはできませんが、「お薬は飲みましたか」と声をかけてもらったり、お弁当にお薬を貼りつけて渡してもらったり、ということならお願いできる場合があります。私も、前もって相談しておくことがあります。

ただ、これはあくまで「お願い」です。引き受けてもらえるかどうかは事業者や配達の方によって違うので、必ず先に確かめてくださいね。

宅食の見守り機能については、こちらの記事にくわしく書いています。

→ あわせて読みたい:宅食とは?種類・料金・見守り機能まで、5つのポイントを解説

見守りでいちばん確実なのは、人の目を増やすこと

では、何から始めればいいのでしょう。私がおすすめしたいのは、機械を増やすことより、関わる人を増やすことです。

私の実家も、そうしています。母の介助が必要なときは家族が対応してくれますし、私が顔を出すのは週に1回ほど。誰かひとりが抱えこまないようにしているんです。

誰に気づいてもらえること頼み方
民生委員さん定期的な訪問と声かけ地域包括支援センターへ
ヘルパーさん家の中の変化、体調の変化ケアマネジャーさんへ
デイサービス来ない日があればすぐ分かるケアマネジャーさんへ
宅食の配達玄関先での様子申し込み時に相談

とくに遠方にお住まいの場合は、地域の民生委員さんにお願いするという方法があります。地域包括支援センター(高齢者の相談窓口)に「見守りをお願いしたい」と伝えると、登録して訪問や声かけにつないでもらえます。

介護サービスが入ることにも、同じ意味があるんですよ。ヘルパーさんやデイサービスが関われば、第三者の目が定期的に入るからです。「介護サービスは体が不自由になってから」と思われがちですが、見守りのために使う、という考え方もできるんです。

ちなみに、緊急通報装置は自治体から無料や低額で貸してもらえることが多いです。65歳以上のひとり暮らしの方が対象になっていることが多く、こちらも地域包括支援センターか市区町村の福祉の窓口が相談先になります。買う前に、一度聞いてみてくださいね。

→ あわせて読みたい:デイサービスとは?「行きたくない」から始まっても大丈夫

まとめ

今日のポイントを振り返っておきますね。

  • 見守りの道具はカメラ・センサー・緊急ボタン・訪問の4種類。組み合わせて使う
  • カメラで分かるのは「だいたいの様子」。それでも十分に役立つ
  • カメラを付けるときは、ご本人の同意と置き場所への配慮を
  • 緊急ボタンは、届かない・押さないことがある
  • いちばん確実なのは、関わる人を増やすこと。まずは地域包括支援センターへ

ご本人が「できるだけ家で暮らしたい」と思っておられるなら、その願いを支えるために見守りがあるのだと思うんです。監視するためではありません。

道具はきっかけで十分です。まずは「うちの親、ひとりの時間が長いかもしれない」と気づいたところから。その気づきを、誰かに話してみてください。地域包括支援センターでも、ケアマネジャーさんでも構いません。そこから必ず、次の手が見つかりますよ。

→ あわせて読みたい:「エアコンをつけたがらない」高齢の親へ。熱中症を防ぐ4つの見守り

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